こんにちは!
先日公開されたブルボン エブリバーガーのキャラクター美術の制作について、受注に繋がった課題解決の3つのポイントについて、お伝えしたいと思います。
短編アニメーションはこちら:Midnight Burger
まず、今回のアニメーションはコマ撮りと言ってたくさんの静止画を繋げたもの(ストップモーション・アニメーション)で出来ています。
ストップモーション・アニメーション(Stop motion animation)とは、静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かしカメラで撮影し、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せる映画の撮影技術、技法。 アニメーションの一種であり、SFXの一種。コマ撮り(コマどり)ともいう。
今回、本物のお菓子でキャラクターを作って、コマ撮りをするにあたり、以下の課題がありました。
- 撮影で何度も動かしても壊れない強度
- 機材を接着できる油脂分のない素材を使う
- コマ撮りアニメに耐えうる精度の高いクッキー
以上の課題を制作チームが抱えていました。
このお話をご相談頂いたとき、「私、これ、全部できます!!」と言えた事が、お仕事に繋がった一番のポイントでした。
ここからは、具体的にどのように、この課題をクリアしたのかについて、簡単に解説していきたいと思います。
1.撮影で何度も動かしても壊れない強度
私は前職で、店頭のディスプレイ制作を担当していました。
製菓学校時代に教えてもらった“とても固いクッキーを作れる生地”を使って、お菓子の城や家を作った経験がありました。
その経験を活かして、キャラクタークッキーの生地に“とても固いクッキーの生地”を採用しました。
2.機材を接着できる油脂分のない素材を使う
みなさんは、クッキーにテープをつけた事はありますか?
実はディスプレイの制作の際に、バターたっぷりのクッキーに、テープで貼ってみたら、くっつかないのなんの。
※食べられない素材を製菓のコンペなどで使うことはできません。
当たり前ですが、バターの多い生地にはテープや接着剤が付きません。
ですが、先ほどのとても固いクッキーにはくっつきました。
この生地は強度が高いことに加えて、油脂を使ってない、まさにコマ撮りアニメにピッタリのクッキー生地だったのです。
3.コマ撮りアニメに耐えうる精度の高いクッキー
生地は問題ない。次の問題は、アニメーターの希望のコマ数に合わせて、少しずつ形を変えたクッキーを作ることです。
市販の型では、中々イメージに合ったジャストサイズのものがありません。
さらに、腕を上下にしたり、足が閉じたり開いたりなど、何パターンもある型のセットは、既成品には存在しません。
そして、オリジナルの型の制作!!という事になります。
アルミ板で自由にクッキー型を作ることは一般的になってきましたが、精度の高い型を同じ大きさで少しずつ変えて作る事は困難です。
そこで、3Dプリンターの登場でした!このお話を頂いたのが10月、私が3Dプリンターを購入したのが7月ということで、自由に型を出力できるようになっていました!
本当に自分の知識と技術が、全く違うフィールドの方々のお役に立てるなんて思ってもいませんでした。
私はプロモーションのプロでも、ストップモーションアニメのプロでもありませんが、お菓子の知識と技術を持っていました。
このアニメーションは、それぞれの異なった技術を持つ人たちが、掛け合わさって素晴らしいものとなったのです。
こんな素敵なお仕事があるんだ、と幸せになりました。
20歳の頃、夢中になって使ったお菓子のお家の技術が役に立ち、自分の幅を広げたいと思って買った3Dプリンターも役に立ってくれました。
本当にたくさんの人のこだわりが詰まったアニメーションです!!
ぜひ、色んな細かいところにも目を向けて欲しいと思います!!
また、私が今回のお仕事で発見した色んなお話も記事にしたいと思います。
制作過程や、作ってる人を感じるとよりアニメーションも楽しめると思います!
ブルボン【エブリバーガー】のプロモーション動画の美術を担当しました
https://nanako-sucre.com/2019/02/01/everyburger/